さよなら、ゲームセット

 

帰宅するなり息子が言った

 

 

母さん、今日もさよならー。

ホントにもう、さよならばっかり。

さよならの週

さよなら半端ない

 

 

 

昨日からテレビで観戦する野球やソフトボールの試合が

さよならで勝敗が決まるゲームが続いている

 

その報告だった

 

 

 

 

 

さよならかぁ

 

 

 

そうだ、さよならしよう

 

 

 

 

 

絶対に離すものかと

必死になって握っているものにさよなら

 

もしかしたらそれは

自分の思いどおりにしたい

誰かの手

 

 

たぶん握って放さなかったのは

 

その人の手のひらではなく

 

その人の手首

 

 

 

 

行かないで

離れないで

こっちを見て

私の言うとおりにして

これで絶対に間違いはないから

そっちじゃない、こっちに来い

 

 

思いどおりにしたいから

力いっぱい握りしめている

 

 

その結果が何を生むか、、、。

 

 

 

 

 

 

だから、さよならしてみたらいい

 

スッパリと手を放してみる

 

 

 

 

 

今までどうもありがとう

って

 

握っている手首をちゃんと放せるまで

 

毎日さよならをしよう

 

 

 

 

今日もありがとう

たのしかった

さよならー

 

って握っていた手で

バイバイと手を振ろう

 

 

 

握っていた手を放すと

その手は何でも掴めるようになる

 

 

与えられている出会いは

当たり前のものではない

一緒の時間を過ごせる奇跡に気づく

 

 

自分のしあわせを

誰かに委ねていたとわかる

 

 

並んで歩く

腕を振って肩を並べて歩く

それも気持ちがいいなと思えたりする

 

 

 

さよなら

 

そして思いどおりにならない現実に

ゲームセット

 

不毛な戦いを終わらせる

 

 

 

最後は潔く

ありがとうございました!

と頭を下げる

 

終わりを告げるサイレンが鳴り響く

 

風が吹き抜けていく

 

 

 

 

 

 

息子のさよならの連呼

 

あんまり

さよなら、さよならって言うから

そんなことを思った