ゆったり生きる

 

もうお腹の中でだいぶ大きくなっていますから、

予定より早く産みましょう

 

10年前のこと、

病院の先生がそう言って薬を渡した。

陣痛促進剤

 

 

予定日よりも8日早い日に

この薬を飲むように言われた。

 

 

何か、違う。

そう思って私は薬を飲まなかった

 

 

そして、予定日から3日過ぎた

10月12日に女の子を出産した。

 

生まれてみれば、

先生がだいぶ大きいと言っていたほど大きくなく

出産も楽なものだった 

 

 

 

その時に

 

タイミングってあるなーと思った

しっくりとくるタイミング

自分も赤ちゃんも世界もみんな準備が整って、

リンゴの実が自分の重さで木から離れて落ちていくような

ピタッとくるタイミングが

 

 

 

もうすぐ、むすめの2分の1成人式

生まれた時のエピソードをまとめていたら

とても大切なことを思い出した

 

 

あの時は

時が熟するのを

日々の暮らしの中でゆっくり時を感じて

ゆったりと待つことができていた

 

もっと遠くの景色を見ることもできた

 

 

この頃はすっかり、

歩くのも食べるのも速い

めちゃ速い

すごくせっかち

 

お腹から出てきたら

急に忙しくなったのもあるけど

時間に追われて

私がやらなきゃ!とか思って、

それでいて不安で

待つという感覚を忘れている

日々を味わうことを忘れている

 

 

あの頃は 

何かを信じるとか

委ねるとか

預けることを知っていたし

ひたひたとその時を迎える覚悟ができていた

 

 

あの頃のように

何かを孕んで生きることを

もう一度思い出してみようと思った。