ブレイクスルー

 

掃除機は自分に積もったホコリを吸うことができない

 

だから、掃除機のホコリをキレイにしてあげる

 

いつの間にか積もったホコリを払いながら

よく思い出す出来事がある

 

 

 

私が採用された年の事

 

年末年始で会社は忙しかった

 

みんな慌しく仕事をしていて

言葉もどこかトゲトゲしかった

 

 

ある課のカタブツな課長に

私がやっていない事で酷く怒られたり、

 

お前はいいなぁ、暇そうで

悩みなんかないだろ

と別の部署の人に嫌味を言われたり

 

 

心がきゅっとなって

そんなことないよ、私だって忙しいよ

ってバタバタと仕事をした。

 

 

もう、全然余裕なんかない感じで

黙々と

 

顔も上げず

黙々と

 

 

明らかにそれまでの私とは違っていた

 

心がすり減っていた

 

 

 

そんなことが続いたある日のこと

 

いつものように

文書や郵便物を区分けする棚の前で仕分けを黙々とやっていると、

 

 

まりあさんという女性の課長が

 

私の肩を後ろからポンッと叩いた

 

 

言葉もなく一度だけ

ポンッと

 

 

 

 

 

ブレイクスルー

 

 

 

今まで張りつめたものが

プツンとキレた

 

 

自分で止められなかった歯車が

ピタリと止まって

何かが抜けていった気がした

 

 

まりあさんがどんな意図でそうしたのかは

今でもわからない

 

 

だけど

 

知ってるよ

ちゃんと見てるよ

 

 

言葉は無かったけど

そんな暖かさを感じた出来事だった

 

 

 

 

私は事あるごとに

その出来事を思い出す

 

ほんの一瞬の出来事

 

だけど

深く心に刻まれた

 

 

 

掃除機は自分のホコリを吸いとれない

 

 

心がすり減っているひとは

自分の肩を自分では叩けない

誰かのチカラが必要な時がある

 

直接手を貸さなくても

チカラになれる事がある

 

 

 

ブレイクスルーもその一つ

 

流れを止める

何かを打ち破る

ガラリと変える

空気を一変する

そこから抜けるための知恵

 

 

上手にさり気なくできるといい

 

まりあさんみたいに が私の目標