祭りの後

 

太鼓が響き渡り

横笛の音が聞こえてくると

 

傘踊りの傘がくるくるくるとまわり

四つ竹がかちゃかちゃかちゃとなり出す

 

 

猫背になっていた背中はピーンと伸びて

それーー、それーーー

という掛け声が繰り返される

 

四つ竹を持つ腕は肩の高さまで上がり

次の休憩まで水平を保つ

 

二日間練り歩いて疲れているはずの足が

拍子に合わせて動き出す

 

 

 

お祭りの間

太陽は本気

容赦なく照りつけて

吹きかける水もすぐに乾いた

 

 

二週間にも満たない練習期間を経て

子どもたちのお宮までの巡行は終わった

 

 

その夜

疲れているはずの娘のおしゃべりが

止まらない

 

 

兄に寝ないなら部屋を片付けてと言われると

あっという間に寝たが

夜中の2時を過ぎても

止まらなかった

 

 

我ながら満足のいく踊りができたようだ

 

練習の度に

今日も前に進めた^ ^

今日は二人抜いた^ ^

とうれしそうに話すから

最初っから順調だったのかと思いきや

 

歩きながら四つ竹を鳴らすこともできず

一番最初の練習は一番後ろ

一番後ろの子が一番出来ていないということ

 

 

よくくさらなかったなぁ

 

と言うと

 

自分より出来ている子が前で踊っていて

その子があきらめモードで

あきらめモードの子には負けられない

と思ってやった

 

と言った

 

 

上手に出来てるし

来年もやったら

 

と言うと

 

来年はやらないと決めたから

がんばれた

 

そう話した

 

 

 

決めて、やる。

 

 

また娘にやられた

よくやってくれたと思う

 

 

 

私は四つ竹を

3回以上鳴らせない

 

新聞を持つ腕も

ぷるぷるってなる

 

 

 

 

娘の襷を結ぶ手に

思わず想いが込もった

 

ピンクの羽が娘の背中で

巡行が終わってもへなって萎れない

とびきり元気な蝶々結び

 

 

 

 

私はその背中を忘れないと思う

 

 

 

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