正体
小学校4年生の頃
息子はいじめられていた
同じクラスの女子に
相当な嫌がらせを受けていた
保育園の頃は
結婚したいと言っていたはずのその子に
見えてこない出口に
辛い日々を送っていた
6年生になったある日
息子とその女の子は話をした
4年生の頃の理不尽な行為について
その子は
自分でもなんであんな事をしたのかわからない
そう話したという
もうその頃
その女の子は息子の良き理解者になっていた
何かあればすぐに助ける
友だちにも息子に変わって代弁できるほどの
理解者に
今日
中学3年生の息子は
小学校5年生の妹に
ビンタされた
身に覚えのないことで
娘もなんでそんなことをしたのか
説明ができない
息子も激怒していたが
4年生の頃の話をすると
怒鳴るのをやめてくれた
流石だ
だてにいじめられてただけじゃない
理不尽な行為をさせてしまうものの正体は
成長ホルモン
イライラも
不機嫌も
突然のビンタも
成長ホルモンのいたずら
娘も息子も
順調に成長している
数日前から
ベランダに住み着いた何かの蛹
住み着いたばかりだったのだろう
幼虫に近い
薄緑の柔らかい感じだったのに
近頃はだんだんと茶色くなってきて
最初の頃の柔らかさはない
いも虫は蛹の時代を経て成虫になっていくのだけど
消化と呼吸の一部の神経を残して
残りの細胞は蛹の殻の中で一旦ドロドロの状態になる
それがやがて成虫の形に変化していくのだとか
生まれてから今まで
生きながらえるために覚えてきたことを
今ここで見つめ直す
そんな時期を迎えている
新しい自分を形造る
これから生きていくための自分になっていく
そんな時期を
蛹も強そうに見えて
ちょっとの衝撃ですぐに死んでしまう
脆い時期
なりたい自分を思い描けば
そうなれる事を確信できる
大事な時代
今日みたいにぶつかる事もある
ぶつかって、ぶつかって
今しかないこの時代を
丁寧に過ごしていきたい
その後に現れる
正体を信じて