このことを

 

いなくても、やろう

 

そう決めて

彼女はきれいに並べた席に向かって話を始めた

 

 

ますます伝えたいことがはっきりしてくる

ますます伝えたい想いが熱を帯びて

 

あー、私はこのことをやっぱり伝えていきたい。なんて、楽しい時間なんだろう。

 

 

その感覚を覚えた

ゾクゾクするこの感覚を忘れない

身体中から溢れるエネルギーで話している

 

このことを知りたかった

このことを知るために今日という日があった




今日、彼女を取り囲む笑顔や拍手ははない

静けさの中でしか見えてこないものがある

静けさの中にしか聴こえない微かな声

時間の静寂の中で彼女はそれと対峙した


今日を生き抜いたんだ


 

誰もいない席に向かって話続けた彼女は、

もう違うステージに立っている

 


窓から射す昼下がりの光が

優しくその空間を暖めた